風が強く少し肌寒い土曜日。2ヶ月前に父が癌で入院した。

突然のことで動揺しながらも、長女という立場もあり、ポジティブにポジティブにと言い聞かせながら、父の病院へ通った。病院の先生からの説明の時も、手術の時も、動揺なんてなんの意味もないからと悪いことを思いつかないように、思いつかないように、まるで傘をさして小さくまとまるように過ごしていた。父の気持ちも、母の気持ちも折れそうな時もありながらも、なんとかしのいでいた。私にとっては弱音を吐ける主人の存在が大きかった。

そんな中、今日父が急遽、お試しで自宅に帰れることに。癌は口の中ということもあって、当初は何を言っているのか、さっぱりわからないほど喋れず、食べれず、の日々。今日は来なくて大丈夫だと母から言われてはいたので、実家には帰らなくても、気になってしょうがなく実家に電話をしてみることに。母が「声を聞かせてあげて」と父に電話に代わった時のこと、口の中に器具が入ったこともあって、信じられないほど喋れていた。最初の一言なんて、手術をしてたとか、入院してたとか全部夢だったんじゃないかと思うほど、自分の耳を疑った。泣きそうになる程嬉しくて、こんなに嬉しかったことは久しくなかった。こんなにも自分が浮かれるとは思っていなくて、自分にも驚いた。ずっと何かに怯えていた自分が今日、初めてわかった。

父が病気になってから気づいたことは多く、なんでもない日は本当に素晴らしい。食べたいものを食べ、行きたいところへ出かけ、会いたい人に会えるということ、どれもが全て素晴らしい。大げさじゃなくて、本当に。 一日一日を悔いなく。明日も精一杯に生きる。大切な人たちを大切にする。そう思う今日。なんでもない日、おめでとうございます。特別な日の方はもっとおめでとうございます。年末まであと268日。